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斎藤兆史「英語達人塾」で骨太の英語学習法を学ぶ

斎藤兆史さんの「英語達人塾」は、最近良く見られる「楽に英語をマスターしよう」というコンセプトの英語学習書・教材の対極にある本です。

斎藤兆史さんの考え方が良く分かる文章を引用してみます。

-よく「英語でものを考える」とか「英語脳」とか軽々しく言うけれども、すべての論理的思考や情感的思念において母語と同程度に英語を操るなどそう簡単にできるものではない。

-肝心なのは普段から日本語でしっかりものを考える習慣をつけることである。その上で、日本語で考えたことをできるだけ早く英語に変換する訓練をすればよい。

-日本人にとっての英語は、やはりピアノやバレエと同じように、何年も何年も基礎的な訓練を積んではじめて習得できる技術なのである。

-何週間で身につく初歩的な会話力を「ペラペラ」と称するなら、たしかに「ペラペラ」になるのは不可能ではない。だが、そんな得体の知れない会話力が、日本人の目指す英語力なのだろうか

-英語達人とは、少なくとも読解力や作文力においては並の母語話者と同等以上の英語の使い手のことである。

この本を読んで、それまで感じていたもやもやが晴れてすっきりした感じがしました。

「英語で考えるようになるなんて、いつまでも出来ないや」と思ってましたので、「そんなこと出来なくて当然だ」と言われて、勇気付けられました。

あるいは英語をマスターするには、文法解析・多読・素読・辞書の活用・暗唱・丸暗記などの基本の積み重ねが不可欠だと断言されて、「自分の勉強法が間違っていない」と再確認できました。

実際の斎藤さんは面白い方のようで、前に放送大学の講座を観たときは、田村正和(古畑任三郎)の真似をしたりしてましたが、この本では骨太の英語学習法を丁寧に解説されています。

非常に参考になりますよ。

なかでも「斎藤秀三郎」さんの業績やエピソードには感動しました。
斎藤秀三郎は海外に一度も出たことがないにも関わらず、母語話者以上のレベルの英文法解説書(『実用英文典』何と1064ページあるそうです)をまとめたそうです。
ちょっと信じられないですね。

「英語達人塾」では、「この『実用英文典』の中で“for”と“because”をどのように解説してあるか」を紹介していますので、ちょっと引用してみます。

“Becaue” assigns a moral or physical cause.“For” assigns a logical reason.

The river has risen, because it has rained much of late.

It must have rained much of late, for the river is so high.

“for”と“because”の違いについて、こんな分かりやすい説明を読んだのは初めてです。
しかも海外に出たこともない、斎藤秀三郎がまとめたというのですから、本当に感嘆しますね。

他にも、「英語達人塾」には刺激的な話がたくさん紹介されています。
皆さんにも、是非この本を読んで英語学習法を考えて頂ければと思います。


■■ お勧めの本・教材 ■■

英語達人塾 極めるための独習法指南 (中公新書)英語達人塾 極めるための独習法指南 (中公新書)
(2003/06/24)
斎藤 兆史

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斎藤兆史「英語達人塾」で「長崎通詞」の勉強法を学ぶ

斎藤兆史さんの「英語達人塾」は、「過去の英語達人たちの英語勉強法を学ぶ」というコンセプトの本です。
著者の斎藤兆史さんは、以前にご紹介した「英語達人読本」の著者で東大教授でいらっしゃいます。

さて、この本を読むと「昔の日本人には、すごい人もいたもんだ」と素直に驚いてしまいますよ。

びっくりするようなエピソードが満載ですが、特に印象深いものをご紹介してみます。

まずは、第3章の「長崎通詞」の話には驚かされました。
鎖国時代の日本には、主にオランダ人や中国人との交渉事務を担当する「通詞」と呼ばれる人たちがいたそうです。だいたいは世襲制だったようですね。

この人たちの一部が幕末の時期に、主に国防上の理由から英語学習を命じられたそうですが、なんせ英語教材など何にもありません。
英語をオランダ語に訳した学術書などを使って勉強したようですが、それでも彼らの英語力はネイティブの人を驚かせるほど高かったとのことです。

実際、「幕末の英語担当通詞・森山栄之助は、彼がはじめて出会った英語の母語話者ラナルド・マクドナルドを驚嘆させるほど英語がうまく、黒船来航の際にも通訳として大活躍した」というエピソードが紹介されています。

「彼らはどんな方法でそんなに高い英語力を身につけたのか?」を知りたいですね。

「英語達人塾」によると、秘密は「素読」にあったということです。
これは漢文の素読と同じように、「意味や内容をあまり考えずに同じ文章を何度も音読する」ことです。
いわゆる「読書百選、意自ずから通ず」という原理ですね。

長崎通詞の家に生まれた子供は、5、6歳になるとオランダ語と英語の素読をやらされたそうです。
それが基礎となって極めて高い語学力が身についたということですね。

この本を読んだ時に、「素読というのは、国弘正雄さんが提唱される只管朗読とほぼ同じだ」と思いました。
英語の達人たちの勉強法には、やっぱり共通点が多いことが分かります。

英語に上達するための原理原則は、いつの時代でも変わらないということでしょうか。


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「手づくり英語発音道場」で対ネイティブ指数50を実現する

平澤正夫さんが「手づくり英語発音道場」で主張されていることは明快です。

『(普通の日本人が)バイリンガルになることはできない相談である。とすれば「少々妙な発音」で満足せざるを得ない。いや、ほとんどの日本人の英語発音はむしろ「英語とは聞こえないような発音」なので、「少々妙な発音」なら日本人離れしたスゴい発音であり、本書でもこのレベルを目指す。それが対ネイティブ指数50なのである』
ということです。

対ネイティブ指数50というのは、ネイティブの発音を100とした場合ですから、そのレベルの半分を目指そうということですね。

この本で平澤さんはそのための10箇条を提示されています。
それぞれ納得性のある解説がありますので、興味のある方は是非お読みになることをお勧めします。

ここではその10箇条の最初の条をご紹介してみますね。
最初に読んだ時にとても意外に感じましたので・・・・。

平澤さんによると日本人の発音の一番の問題は「あいまい母音」とのことです。
発音記号でいうと「ə」です。

日本人の発音の一番の問題点が、「r」と「l」でも「b」と「v」でもなくて、「ə」だというのが本当に意外ですね。

「ə」の発音はカタカナ表記では「ア」と表記するのが一般的ですが、それは誤りでむしろ「日本語のウに近い音」だそうです。

実際、これを裏付ける興味深いエピソードが、紹介されています。
これは、『日本人英語で大丈夫-たったふたつ直せば』という本の著者である村上雅人さんが、アメリカ留学中に経験したエピソードです。

『(村上さんが)留学のとき間借りしていたアメリカ人の家に小学生の女の子がいた。たまたまこの子が手紙をくれた。読んでみると、kundition という妙な単語に出くわした。前後関係から推して、これはcondition のまちがいとわかった。それにしても、小学生はなぜ condition を kundition と書き違えたのか。condition の発音のなかの 「ə」 が、日本語のウに近くて、小学生は ku と書いてしまったのじゃないか。ここで初めて、「ə」の発音がウに近いこと、したがって condition を「こんでぃしょん」というひらがなイングリッシュが間違いであるのを知った。この経験に学んで、村上さんはそれ以後「ə」というあいまい母音をすべて「ウ」と発音したところ、ネイティブの友人や仲間から「英語の発音がよくなった」とほめられた。』


私もこの本を読んでから「ə」の発音を意識して聴くようにしてますが、もともとあいまい母音なので、実際には前後の音によって色んな音に聞こえるというのが正しい認識だと今は思ってます。
しかし、少なくとも「ə」を機械的に「ア」に近い音で発音することは間違いだということは確かだと言えますね。

この本には他にも英語の発音に関する面白いエピソードが満載です。
日本人の英語発音の癖を知るためには、とても役に立つ本ですよ。


■■ お勧めの本・教材 ■■

手づくり英語発音道場 対ネイティブ指数50をめざす (平凡社新書)手づくり英語発音道場 対ネイティブ指数50をめざす (平凡社新書)
(2003/12/19)
平澤 正夫

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「手づくり英語発音道場」で発音記号を再認識する

平澤正夫さんの「手づくり英語発音道場」は、アマゾンで発音に関する本を探している時に知りました。

レビューを読んで「良さそうな本だな」と感じて購入しましたが、大正解の本でした。

まず、「オリエンテーション」と題した最初のパートを読んで驚きます。

 ・ “Israel”はカタカナでは「イスラエル」だが、それでは英語としては通じない
 ・ “Harry Potter”はカタカナでは「ハリーポッター」だが、それでは英語としては通じない
 ・ “Internet”はカタカナでは「インターネット」だが、それでは英語としては通じない

それぞれ英語の発音を一番近いカタカナで表記すると「エズイウ」、「ヘャイパル」、「エネヌ」となるとのことです。
びっくりですね。

この後、なぜそうなるかについて、詳しい説明があります。

例えば、“Internet”の発音についてこう解説しています。

『すくなくともアメリカ英語(American English)にあっては、interは「インター」でなく、ふつうは「エヌ」と発音する。そのあとにnetがつづくわけだが、これは日本語のように「ネット」とはいわない。語末の文字tにあたる発音はほとんど音として聞こえないから、「ネット」でなくて「ネ」でよい。けっきょく、Internetの発音は、「エヌネ」という。ビル・ゲイツへのインタビューをテレビでみたことがあるが、彼はもちろん「エネネ」といっていた。』

「本当かよ?」と突っ込みたくもなりますが、とても新鮮な見方だと思います。
実際、電子辞書で“Internet”の発音を確認してみると、私の耳には「エントゥネ」ぐらいに聞こえますが、すくなくとも「インターネット」ではないのは確かです。


ある意味、前回紹介した「カタカナ英語の法則」に似たコンセプトの本です。

「日本風のローマ字読みをしたカタカナ英語では絶対に通じない。発音記号を大事にしよう」というのが、この本の中心テーマです。

発音記号に関する説明もユニークでとても勉強になりますが、それは次回にご紹介します。


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「カタカナ英語の法則」で日本人の限界を知る

「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」の著者である池谷裕二さんは、脳科学者です。
この本では、脳科学の立場から「日本人が英語を発音することの限界」を解説しています。

池谷さんによると

(ア)人間の脳が言葉を聞き分けるための脳回路は、9歳までに組み立てられる。この回路は、9歳以降はほとんど変化することはない。

(イ)脳は耳から入ってきた音を、すでにある脳回路でしか認識しない。
例えば、「La」と音が耳から入ってきても、普通の日本人の脳には「La」に反応する脳回路がない。しかたなく脳は、「ラ」に近い音として認識する。

(ウ)この原理があるため、9歳をすぎた日本人には「L」と「R」、「B」と「V」などを聞き分けることは不可能である。

(エ)聞き取れない音の発音を習得することは困難であるので、大人になってからネイティブ並みの発音を身に付けるのは殆ど無理である。実際、オノ・ヨーコさんとか小澤征爾さんとかの、英語が堪能で世界で活躍している日本人の英語も日本語なまりがいまだに残っている。

とのことです。

いかがですか皆さん。
英語の音を正確に聞き分けられないのは、勉強不足のせいではなくて脳回路のせいなんだということです。
「それなら仕方ないんじゃん」という感じですね。

ただ池谷さんの主張がユニークなのはそのあとの部分です。

(a)英語の音が聞き分けられない以上、正しい発音は難しいのでカタカナ英語でいこう。

(b)しかし、今までの英語のカタカナ表記は間違っている。それでは通じない。animalをアニマルと発音しても通じない。

(c)なるべく実際の発音に近いカタカナで表そう。animalは「エネモウ」と言わないといけない。

ここで特に大切なのは「一般に日本で広まっているカタカナ英語では通じない」という認識ですね。
この点を意識するだけで、英語の発音に対する姿勢が違ってくると思います。

とてもお勧めできる本です。例文をもう少し紹介しておきます。

「セイラーゲイン」 → Say it again.

「ワッシュライドゥ」 → What should I do?

「レンミーゲライストゥゴゥ」 → Let me get a slice to go.

「ジュマイデファイオペナドア」 → Do you mind if I open the door?

「アイウォズエイボラスウィム」 → I was able to swim.

「アイシュダヴ ボーラブレアンヌー コンピューロ」 → I should have bought a brand new computer.


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怖いくらい通じるカタカナ英語の法則 (ブルーバックス)怖いくらい通じるカタカナ英語の法則 (ブルーバックス)
(2008/01/22)
池谷 裕二

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高広 佳之

Author:高広 佳之
某金融機関に約30年勤務しています。お酒と映画と水泳が好きです。

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